モイーズさんへ

 大事なダービーで屈辱的な敗戦を喫した一戦からもう3日の月日がたってしまった。あの日、もしも現実の世界と反対の結果になっていたら今までの彼に対する猜疑の目も温かな歓迎へと変わっていたはずだ。「やっと赤いチームの指揮官がにあってきたじゃないか。ようこそマンチェスターへ。マンチェスター・ユナイテッドの監督として歓迎するよ。」と。しかし、そんな絶好の機会は最悪の結果となって過ぎ去り、今日のリヴァプール戦は青いライバルチームのファンにとって、酒の肴にちょうどいい話題になっているのではないか。熱心なファンにとって何が悔しいかって、今日のリヴァプール戦に勝っても負けても同じ町のライバルチームと対戦する機会は半年近く経たないと訪れないということ。そして今日のリヴァプールとの試合も、長年イングランドでしのぎを削ってきたライバルとの戦いだというのに数時間後に気分よくスタジアムを出る自分たちの姿が想像できないことではないか。頼みのファン・ペルシーは欠場濃厚で、ライバルチームにはエースのスアレスが復帰予定という、時の流れも敵に回してしまったとの嘆きも聞こえてきそうな状況で、「いや、スアレスは試合勘が不足しているかもしれないし、長期の離脱でチームにフィットしているかもわからない」とかなんとか願いにも似た分析を垂れているかもしれない。しかしそんなことにも気を留めない指揮官は他人任せに「選手たちの奮起に期待している」とかメディアの前で発言してしまうものだから、ファンは四半世紀にも渡って使ってきたヘアドライヤーもそろそろいつまで現役でいられるか分からなくなってきたから新しいものに新調しようと迎え入れたものが、何というか評判は良かったもののうちの規格と合わないんじゃないか?と疑いの目を向け始めているのではないか。
 今シーズンは多くのビッククラブで新監督就任の大移動があった。バルセロナやマドリ―のスペイン勢や、バルセロナで獲得可能の19個のタイトルのうち、14ものタイトルを獲得するという文字通り偉業を成し遂げたグアルディオラが率いることになったバイエルン、そしてそのライバルであるモウリーニョ率いるチェルシー、そしてユナイテッドのライバルであるシティには、スペインで腕を磨いた監督としては、近年3人目となるペジェグリーニがその辣腕を振るおうとしている。他にもイタリアではベニテスやマッツォーリ、ルディ・ガルシア、フランスではブランなど多くの監督が新天地でこれから起こるであろうよい兆しを見せ始めている。モイーズもその中の一人としてグアルディオラモウリーニョが候補に挙がる中、サー・アレックス・ファーガソンの後釜として、マンチェスター・ユナイテッドの指揮を任されることになったのであるが、どうにもユナイテッドの周辺からいい話が聞こえてこない。数々の獲得交渉の失敗談から、チームの象徴であるルーニーとの不仲、試合内容、試合の結果、唯一のポジティブなニュースであるフェライニ(何故かここにエロを感じてしまう中学生かよお前はというオレサマ―)獲得に関しても、香川云々のネガティブな記事を飛ばされるほど、今のユナイテッドにはポジティブな見出しを見つけることは困難であるように見える。誰かオレにユナイテッドのポジティブな要素を教えてくれ!これからどこがどのようによくなっていくというのだ。そんなことを言わずにもう少しモイーズに時間を与えてやったらどうだ?という意見をいくつか見かけたけれど、今のサッカー界に1シーズンをチームの土台をづくりに充てる余裕はあるのだろうか?もしその余裕があるとして、1シーズン後には劇的によくなっているだろうという兆しはあるのだろうか?劇的によくなっている必要性なんかないではないか。いやいやCLに出られなかったら大きな損失を被ることになるというのにそんな悠長なことは言ってられないだろう。しかしそんな不安にまみれた空想をいくら展開しようが、それはモイーズの手腕もといリーダーシップにかかっている。彼は栄光に満ちたサー・アレックス・ファーガソンの後継者としてユナイテッドを率いる資格を受けた唯一の人間なんだから。私たちがどんなにそのクラブを愛していようと、誰よりも眠れない夜を過ごし、その時間をチームが少しでも良くなるために思考をめぐらしているのはモイーズであるはずだ。
 まぁ私はユヴェントスファンなのですが(笑)